■ 2005年6月26日(日)
++ タイ日記 二日目
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なんか一日目を書いているうちにいろいろ思い出してきたので二日目を書こう。一日目は冗長になりすぎた感があるが、初めての経験ぞろいなのでしゃーない気もする。まあ二日目以降はコンパクトにいきたい(無理かもしれんが)*1
ホテル・ホワイトオーキッドでバイキング朝食。日本からホテルを予約した分はこれだけなので明日以降は自分で部屋を探すことになる。
ホテルをチェックアウトしたがどこにいくか決めてなかったのでとりあえず歩く。幸い晴天で、町並みをみてるだけで楽しい。適当に歩いてるうちに市場の通りに差し掛かり、モイがおもちゃのような腕時計、60バーツ(180円)を買う。ちなみに俺の腕時計は京都の300円ショップで買ったもの、装備品はできるだけ安く上げたいしね。
ところで、バンコクを歩く上で非常に困ったことが一つある。それは・・
歩行者用信号がない!
いやマジで無いんだって*2。バンコクの交通量は凄まじく、車の絶える暇が無い。イメージとしては東大路や四条通りの対面にわたるのに信号がない感じと言えばわかりすいだろうか(実はもっと酷いが) 運転手達のマナーも日本と大違いで、曲がるのにウインカーは出さないし、隙間さえあればバイクが突っ込んでくる、車優先社会である。にもかかわらず渡りたい通りは多い、ではどーやって渡るのか?
現地民の背後をぴったり尾行
運悪く現地民が来ないと、ビュンビュン車がいきかう中を五分でも十分でも炎天下の中(毎日三十度以上だ)モイと二人で途方にくれることとなる。 現地民というのは不思議なもので渡る隙間一つ無いようなところでも、躊躇無く突っ込んでいける上に何故か轢かれない。
現地民をゼロ距離ストーキングしながら二、三時間ぶらぶらと歩き回る俺達。ふらふらしてるうちに、見学できる王宮の前につく。タイは実は日本のような議院内閣制の政治制度ではなく、国民から崇拝されている王様を中心とした立憲君主制である(現在では王には政治権力はない)。タイの人々は王様が大好きで、アイドルのプロマイドと一緒に王様のプロマイドなんかも売られており、しかも結構な売れ行きだそうだ*3。
昔王様が実際に住んでいた王宮の前には、大きな騎馬像があって花が飾ってある。当然興味が沸いたので見に行ってみる。
像の主はラーマ5世。列強の植民地侵出に対して、近代化、民主化で対抗し独立を守りきった王様である。日本で例えたら、まあ坂本竜馬+明治の元勲といったイメージだろうか。タイでの安全を祈るなら、現地の偉い人にお願いしとくのが筋ってもんだ。
ということで現地の小学生ぐらいの花売りの子供から花と線香を購入(20バーツ)。
線香を上げてお祈りしようととすると葉巻が手渡される。普通、人間手渡されたら受け取るわな、するとほい来た
ガキ「ツー ハンドレッド バーツ!!」
最初は唖然としていたが、さすがにぼりすぎだ
俺「ノー ニード!」
しかめっ面で断り、葉巻をガキに押し付ける
ガキ「ヒフティー バーツ!」 俺「ノー!ノー!」 ガキ「トゥエンティ バーツ!」 俺「ノー! ノー!」 あきらめたのか、ただでくれた(つーか最初の20バーツに含まれてたんだと思う)
海外経験がほぼ皆無な俺とモイは、ドラクエで例えるならレベル1冒険者のパーティなことは分かっていたが、スライムくらいなら倒せるみたいだ。 祖国の英雄を商売のタネにするガキの態度には少し腹が立ったが、外人をうまく利用して、きりぬけたラーマ5世魂(列強に隣国を植民地化するための基地を提供することで、自国は植民地化を免れた)が宿ってるだけだと考え直すとまあ別に腹も立たない。経験値ももらったしレベル5ぐらいにはなったはずだ。
そんなこんなで王宮を見学。入場料150バーツ(450円)は結構高かった気もするが、自国民は50バーツらしいから、まあそんなもんだろう。王宮には普通に自動小銃もった警備兵がいてビビッタが、国の遺産なんだし当たり前ちゃ当たり前か。
昼食は王宮の敷地内の学食みたいなとこで食う。50バーツでラーメンみたいな麺類、料理名はわからんがフツーにうまい。 このあたりで一日2000円ていうのは結構普通のラインなんじゃないかという油断が生まれる。
飯を食った後は王宮内部に入る。十五分おきにガイド付きのツアーが出発してるらしいが、俺らが入ろうとすると「お前らはまだダメ!」と英語で怒られる。理由がさっぱりわからないため、15分×3セットの「よし、入ろう」「まだダメ!」が繰り返された後*4、理由判明。外人は外人で一まとめにして、二時間一回の英語のガイドツアーで入れるらしい。
いや、そんな気を使ってもらわなくても、タイ語だけじゃなく英語も分かりませんから。ガイドが熱心に英語で案内してくれるのだが俺は「Oh!」「I understand!」などと分かったかのような空返事を返すのみ。実は喋ってる内容の半分も分かりません*5。
まあしゃべってる内容わかんなくても、人の住居であるからして何する所かぐらいは大体の想像はつくので、セレブな居間や寝室、トイレを見て、 「こんなに豪華じゃ寝れねーよ」「こんなに豪華じゃ出るもんでねーよ」などと幼稚園児〜小学校さんねんせい並の貧弱な発想を繰り返す。
王宮を出るとそろそろ三時を過ぎているので、今夜の宿を決めるため、例の安宿街カオサンロードへ向かうことに。ところで、バンコクでの旅行者の主な交通手段といったらタクシーとトゥクトゥクの二つにわかれる。
タクシーはまあ普通のメーター制タクシー、そんなに高くないが、たまにぼったくりタクシーが現れ旅行者とトラブるようなのでトゥクトゥクを使うことに。
トゥクトゥクは原チャで引っ張る人力車みたいな乗り物。料金は交渉制なため最初の交渉はメンドイが折り合いがつけば後から追加料金はかからない。
適当なトゥクトゥクを捕まえ、一路カオサンロードへ(50バーツ)
カオサンロードは世界中からバックパッカーが集まる外国人の街。店の看板もタイ語ではなくほとんど英語、そしてたまに日本語。歩いてる奴等も西洋人、黒人、日本人ばっかでとタイ人比率が少ない。しかも露店が通りの両側にずらっと並んでおり(アクセサリーや服、ズボン、電化製品、食品となんでもあり)見るには困らない。
ぶらぶら歩き回ってると。
ガシャーン!
後ろからデカイ衝突音、野次馬根性丸出しで振り返る*7。 何やらケガした男がトゥクトゥクに乗せられ運ばれていっただけで何も分からない。
一部始終を見てたらしいおばちゃんが英語と身振り手振りで教えてくれた。 おばちゃん「トゥクトゥク同士が正面衝突したのよ。もう凄かったわよ。」
奴等は狭い路地でも、絶妙のドライビングテクでスピードを落とさずすれ違うからそういうこともたまにはあるだろう。
おばちゃん「日本から来たのかい?」俺「ええまあ。タイ人のかたですか?」おばちゃん「そうよ。バンコクははじめてかい?」俺「そうです」おばちゃん「実はあたしも初めてなのよ・・」
英語でおばちゃんとコミュニケーションをとっていると、おばちゃんは南部のプーケットから出てきたらしい。普段は英語の教師をやってるらしくて流暢な英語だ、言ってることもほとんどわかる。おばちゃん情報によるとカオサンの安宿(ゲストハウスと言う)は五時からチェックインを開始するらしい。今は四時だからまだ時間はある。
おばちゃんは家族はいるらしいが、家族を置いてきて「自分の休暇」でバンコクにきたらしくカオサンの川向いのホテルをとってるらしい。
おばちゃん「あたしゃバンコクにきたらやってみたいことが一つあってね」俺「何ですか?」おばちゃん「チャオプラヤ川の川下りだよ。あんたらもやってみないかい。料金は割り勘でかまわないよ。」
俺「どーするよモイ?時間はまだあるみたいだが」 モイ「正直気は進まないが、お前が決めてくれ。」*8 俺「じゃ行ってみっか」 俺は基本的によっぽどやばそうな時しか、首をひっこめられないタイプ(香車体質)なので面白そうなことは断らない。
おばちゃんがトゥクトゥクを止め、船の発着場へ。おばちゃんがタイ語で交渉したせいか20バーツと格安だった(割り勘で10バーツ)
船の発着場、俺らだけだったら看板の文字がタイ語で読めないため躊躇しそうなもんだが、おばちゃんはすいすい入ってく。おばちゃんがタイ語で船の運転手と二三言交渉し、モーター船をチャーターして出発。
チャオプラヤ川の川くだりは、それはそれは爽快だった*9。風を正面から受けて進む船。長くなった日差し、見たことも無い南国の植物に、川で元気に遊ぶ子供達、初めて見た水上生活者達の家。
ああ、人間てどこでも暮らせるんだな。
おばちゃんにタイ語も習った。プーケットでの津波の被害もそれほど酷くなく、ほとんど復旧してるらしい。「あんた達、結婚するならプーケットでやりなよ」などと見当違いなことも言っていた。
楽しかった時間と言うものはえてして早く過ぎていくもので・・・やってきたのは
地獄の清算た〜いむ!*10
突如目を剥き、豹変するおばちゃん!!
「私は2000バーツ払ったから、あんたらも2000バーツ早く払いなさい!!」
俺「はぁ?」
おばちゃん「2000バーツだよッ!!」
えーと状況がよく掴めないのですが。おばちゃんは日本円にして6000円支払えっと言ってる模様です。って旅費の3分の1じゃねーか。
くっ、やられた!
頭を急回転で冷静に働かせ、状況を確認。 おばちゃんは船頭に二千バーツ払っていたが、こいつらは当然グルだ。なんといってもタイ人には高すぎるだろ。ここは船の上だから、逃げ場はない。泳ぐのも結構急流だから無理だろうし、警察を呼ぶのも無理だ。
何とかならないものか?
まず、モイを壁に使い(おばちゃんの相手をまかせ)、ガイドブックを取り出し相場を確認する俺。
見たいときに見たいページは出てこない。これマーフィの法則。
二分後
モイ「2000バーツ払えって言うんだよ!!もう払おうよ!!僕は水の上でグルグルされるの不安だから嫌なんだよ!!!交渉するなら自分でやってよ!!」*11
あ、一瞬で壁が決壊しやがった。水の上でグルグルされるのは俺だって嫌だが、モイはすでに自閉症モードになってコミュニケーションを閉じている。
確かにさっきまで水しぶき一つ立たなかった船がグルングルン揺れて、水かかりまくり!
足場を安定させず、心理的動揺を誘って交渉を有利に運ぶ、初歩的テクニックだが結構効くな。もうモイのHPゲージが赤くなってやがる。
これはどーにもならん、最初に料金を確認しない俺が悪かった。素直に負けを認め、ズボンの内側から命金の財布をだし(表ポケットに入れた財布はダミーで千バーツぐらいしか入ってない)2000バーツを船頭に渡す。
おばちゃん「足りないよッ!!後2000バーツ!!」
俺「はぁ?」
この辺からさっきまでは、はっきり聞き取れたおばちゃんの英語がほとんど聞き取れなくなっていた。
おばちゃん「%%%% &&&&&& %%%%!!」
人間って聞きたくないものは聞こえないって本当だったんだ。
この辺で俺の何かがキレタ
俺「オメー最初に割り勘って言ったじゃねーか!!」 (英語)
おばちゃん「%%%% &&&&&& %%%%!!」
俺「意味がワカリマセ−ン」(英語)
おばちゃん「&&&&&& %%%%!」
俺「もう金がないんだよ!!」(英語だと思う・・)
おばちゃん「%%%% &&&&&& %%%%!」
俺「ハァ?」(日本語)
おばちゃん「%%%% &&&&&& %%% &&&!」
俺「ドゥー ユー ノウ 割勘 ?」(自分でももうよくわからず)
後でモイに聞いたところ日本語と英語をごちゃ混ぜで使ってたらしい。*14
・ ・ ・
突如、コミュニュケーションが途絶えたのを見て、「らちがあかないので電卓で値段を交渉しろ」とおばちゃん、荷物から電卓を出したが、100円ショップで買った電卓は俺の精神状態を反映してか「pp88888???」などとラリパッパな文字しか写さなかった。
・ ・ ・
調子に乗って船をグルングルンさせる船頭、自分の殻にこもるモイ、「一人2500バーツ!」などと意味不明に怒鳴りまくるおばちゃん、日本語で切れる俺。
タイの夕日は四者四様を平等に映し出す。30分ぐらい同じ絵が続いて視聴者が飽きたころ、ようやく諦めたのか意味のわからない捨てゼリフとともに岸に船を着け、おろされる俺達。*15
って、ここどこだよ?
川の上を適当に走らせてたせいで、現在地がわからない。*18
「ここは一体どこですか?」(タイ語)
旅の指さしタイ会話帳の頭から?マークの出てる可哀そうな外人の絵の出番となった。
*モイから見たタイ旅行・注釈*
*1 9日ほどタイにいたわけだが、この日がかなり印象に強いですね。一日目と違い本格的にタイという大海原に漕ぎ出した(投げ出された)僕たち。正直右も左もわからない。やることなすこと初めてなのでいろいろと大変でした。詐欺の人たちもそれがわかってるんだろーなー。うん
*2 ホントマジでない。超でかい道にはあるけど、三条四条程度の大きさの道には絶対にない。怖くてわたれません
*3 店とか入ると必ず王様の写真が飾っているのです
*4 3回も怒られてはいない
*5 といってもタイ人の英語なので、日本人としては聞きやすいほうだと思う。
*6 このとき外人グループで回ったわけだが、アメリカ人、中国人、ドイツ人、イギリス人そして日本人とよりどりみどり。中国人とアメリカ人がすごくふてぶてしかったのを覚えている
*7 このとき僕は音がしたことにも気づいていません。 ヤジ馬根性とか皆無なので音に気づいても素通りでしょうが。半田がいねぇー、と思っていたら変なおばちゃんをひきつれて戻ってきた。嫌な予感がする
*8 半田がどう感じたのかしらんが、もっと僕は拒否してたよ?結局押し切られてるけど。会話としては 僕 「え。何?ついてくの?」
半田「川くだりが楽しめるんだぜ?」
僕 「いやだよ、かなり怪しくね?フツーそんなん誘うか?」(嫌悪感をあらわにしてる)
半田「お前警戒しすぎだって。別に誘ってもおかしくねーよ」(行きたいのに拒否されていらだってる)
以下にらみ合い……
最後に僕が「どーなってもしらんからね」と捨て台詞をつぶやいて、おばさんについていくことになる
*9 船のすわり位置が、半田は先頭で単機だが、僕は真ん中でおばさんと横並びだった。警戒心MAXモードだったので爽快さとかあまり感じていない
*10 うわーーん
*11 そんないいかたしたかなぁw。 まぁ僕たちパーティがはじめてであった強敵(たぶんLv40くらい)なので混乱してたのは否めない
*12 ちなみに僕の頭の中では半田責任になっていたので早々に傍観を決め込んでいる(実に2分)。とっとと棺おけに入り、半田が→逃げるコマンドを成功させるのを待つことにする
*13 あー、夕日をバックに王宮を見る。いいなぁ。半田とおばさんの会話なぞすでに聞こえていないが(僕は便利な耳を持っているようだ)、ときどき日本語が入るのでそれを拾い聞き。
*14 半田語録
「ユーセイ、ウィー、ペイトゥゲザー」たぶん割勘のことをいいたい
「アイペイ千バーツ!オーケー?」 千は日本語です
*15 ついに逃げるコマンドを成功させたらしい。バシルーラをくらったというほうが正確か
*16 地に足がついた状態って幸せだ
*17 まぁいい経験になったよね、と定番の会話を交わす
*18 すでに6時前 大変な一日はまだ終わらない
No.51
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